白豚ノート

何となく考えたことを、写真と共に垂れ流すブログ。

京都記2015

 身の周りの雑多な物事が一区切りを迎え、10月の上旬に京都に向かった。色々な物事を放棄し、出雲から香川、京都に至るまでの五泊六日に渡る逃避旅行から一年、長楽寺にもとりあえず一区切りついたことを報告しなければと思い、四泊五日で京都市内を巡ってきた。「なんで京都にそんな行くの?」とか言われ、その度にいつも煙に巻くような発言をしているのももどかしいので、キーボードを叩くことにする。

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【京都駅】

 バイト先の人から「何かあるとすぐ京都に行く」と揶揄される。たまに一人旅の話をしていて「うらやましい」と言われるが(確かにかなり贅沢な話ではある)、そこまで一人旅にきれいなイメージを自分が持っているわけではない。どこかに行くとしたら確実に気心の知れた人と行く方が楽しいし、やはり知らない土地で一人というのは、ふとした瞬間に染み入るような寂しさを感じたりもする。

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糺の森

 格安貧乏旅行をテーマとしており、「いくら金を使わずにいい経験ができるか」を主眼に置いている。腹が減れば当然イライラする。夜行バスに乗って移動した次の日は何もする気が起きない。服は着回し、タオルは何回も使う。適当に地下鉄に乗って座席に座り、駅の名前や電車の掲示物を見たりうとうとしたりしているうちに、太秦天神川から六地蔵までをバウンド輸送されていることもある。いやいや、それなら金使えよ、という話でもあるのだが、別にそこまでして金を使いたくはない。別に快適でなくてもお寺は回れるし、最低限の金があればある程度の範囲を好きに回ることができる。

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南禅寺水路閣】 

 事前に予定を立てる旅行もいいが、まったく予定を立てないでフラフラと散策する旅行もいい。いつもはガチガチに予定を組んで西日本を飛び回る旅行をしているが、今回は成り行きにまかせてほっつき歩いた。気になる小道があればそこに入り、いい場所があったら入り浸る。1日起きたときに、なんとなくどこへ行くか考える。バスに乗ったり、お寺でボーっとしている間に、考えたいことや、考えなければならないことを考える。「5分以上の思考は大した意味を成さない」というのは日々の経験則だが、田んぼの脇の小さな用水路の流れを眺めるときみたいに、このときとばかりにボーっと時間を浪費する。身の周りの些細なこととか、集団的自衛権赤字国債のことを考える。「日本は沈没するから、はやく海外に移住するのがいい」とかいう人もいるけど、実際自分は日本人だし、お寺や神社が好きだし、福島のことを考えるとそう簡単に故郷を捨てられないよなーとか思ったりする。政治的なことも考えるが、決して実利的ではない。ひとりでぼんやり考えることなど、所詮たかが知れている。

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神泉苑

  Googleマップを見て、近場のよさそうな場所を見つけて、実際にいく。そうすると、ガイドブックでは端の方にしか出ていない、きれいな場所に出会うこともある。拝観料は無料で、夜になると証明がつくなど、ホスピタリティの鬼だったのが上の【神泉苑】である。決して境内は広いわけではないが、ライトアップもあって昼と夜でまったく違う趣きがある。

 逆に、行ってみて後悔することもある。思い込みや勘違いなどの情報不足から、自分が思い描いていた景色と出会えないことも多々あった。無名なのにいいところもあれば、有名なのにあまりピンと来ないた場所もあった。嵯峨野の竹林がライトアップ期間外で、ただの蛍光灯の白い明かりに照らされていたときはひとりで白目を剥いた。

 ひとつの旅の中で思いがけない失敗と成功を繰り返す。「セレンディピティ」という言葉がフワフワと頭に浮かぶ。

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大徳寺高桐院】

 自分が思い描いていた予定調和を外れていく。「効率性」という言葉に歯向かうように行動していく。確かな四季の流れがあり、水の流れや鳥のさえずる音があり、時間がゆっくり進んでいく。そういうものをしっかりと感じ続けるのにも、人間にはエネルギーが必要だ。働いて働いて働き疲れて、一番最初に奪われたのは「季節の感覚」だった。春に咲く花も、夏の夕立のにおいも、秋に色づく紅葉も、冬の雪景色も、本当にせわしなく流れる日々の中では何も意味をなさなかった。「そんなものに構っている暇などない」という思いは、人間の感覚を死滅させていく。最低限の自分の感覚さえ保てないような場所は、ゆっくりと、しかし確かに増え続けている気がする。

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 【長楽寺】

 1年前にも行った場所に立ち、自分がどう変わったのかを確かめる。去年と同じことを願っている自分に出会うこともあれば、少しだけ前に進めた自分を発見できることもある。今の自分は何を考えているのか?どういう方向に進んでいるのか?距離的に遠い場所で、心理的に近い人のことを考えてみるのはどうか?その試みは際限がなく、そして楽しい。もちろん、100%楽しいわけではない。健康的な幸せとは、「幸福偏差値52」くらいの幸せである。

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木屋町

 染み入るような寂しさも、腹が減る苛立ちも、去年と変わらない自分への焦りも、ひとりでなければ看過してしてしまうことばかりだ。一人旅は、周りと自分の位置関係を確かめさせてくれる。

 まあでも、そろそろ友達と行った方が健康的かなという気もしなくもない。錦市場で食べ歩き、木屋町や烏丸四条の飲み屋で飲んだくれるのだ。本当、木屋町神泉苑はおすすめだから、今度京都に行く人はぜひ行ってみて。